口数をあまりきかない、顔色の生白い、額の狭い小づくりな、年は二十一か二の青年を思い出しますと、どうもその身の周囲に生き生きした色がありません、灰色の霧が包んでいるように思われます。
「けれども艶福の点において、われわれは樋口に遠く及ばなかった」と、上田は冷ややかに笑います、鷹見は、
「イヤ、あんな男に限って、女にかあいがられるものサ、女の言いなりほうだいになっていて、それでやはり男だから、チョイと突っ張ってみる、いわゆる張りだね、女はそういうふうな男を勝手にしたり、また勝手にされてみたりすると、夢中になるものだ。