六蔵の姉はおしげと呼び、その時十七歳、私の見るところでは、これもまた白痴と言ってよいほど哀れな女でした。
田口の主人も初めのほどは白痴のことを隠しているようでしたが、何をいうにも隠しうることでないのですから、ついにある夜のこと、私の室に来て教育の話の末に、甥と姪の白痴であることを話しだし、どうにかしてこれにいくぶんの教育を加えることはできないものかと、私に相談をしました。
主人の語るところによると、この哀れなきょうだいの父親というは、非常な大酒家で、そのために命をも縮め、家産をも蕩尽したのだそうです。