義母は今しも下を向て蒲鉾を食ひ欠いで居らるゝ所であつた。
大磯近くなつて漸と諸君の晝飯が了り、自分は二個の空箱の一には笹葉が殘り一には煮肴の汁の痕だけが殘つて居る奴をかたづけて腰掛の下に押込み、老婦人は三個の空箱を丁寧に重ねて、傍の風呂敷包を引寄せ其に包んで了つた。
最も左樣する前に老人と小聲で一寸と相談があつたらしく、金貸らしい老人は『勿論のこと』と言ひたげな樣子を首の振り方で見せてたのであつた。
義母は今しも下を向て蒲鉾を食ひ欠いで居らるゝ所であつた。
大磯近くなつて漸と諸君の晝飯が了り、自分は二個の空箱の一には笹葉が殘り一には煮肴の汁の痕だけが殘つて居る奴をかたづけて腰掛の下に押込み、老婦人は三個の空箱を丁寧に重ねて、傍の風呂敷包を引寄せ其に包んで了つた。
最も左樣する前に老人と小聲で一寸と相談があつたらしく、金貸らしい老人は『勿論のこと』と言ひたげな樣子を首の振り方で見せてたのであつた。