『妾の古手かも知れない。
『貴君も隨分口が惡いね』とか何とか義母が言つて呉れると、益々惡口雜言の眞價を發揮するのだけれども、自分のは合憎く甘い言をトン/\拍子で言ひ合ふやうな對手でないから、間の拔けるのも是非がない。
箱根、伊豆の方面へ旅行する者は國府津まで來ると最早目的地の傍まで着ゐた氣がして心も勇むのが常であるが、自分等二人は全然そんな樣子もなかつた。
『妾の古手かも知れない。
『貴君も隨分口が惡いね』とか何とか義母が言つて呉れると、益々惡口雜言の眞價を發揮するのだけれども、自分のは合憎く甘い言をトン/\拍子で言ひ合ふやうな對手でないから、間の拔けるのも是非がない。
箱根、伊豆の方面へ旅行する者は國府津まで來ると最早目的地の傍まで着ゐた氣がして心も勇むのが常であるが、自分等二人は全然そんな樣子もなかつた。