何でも無遠慮に話す老人が身の上の事は成る可く避けて言はないやうにして居た。
けれど遠まはしに聞き出した處によると、田之浦の者で倅夫婦は百姓をして可なりの生活をして居るが、其夫婦のしうちが氣に喰ぬと言つて十何年も前から一人で此處に住んで居るらしい、そして倅から食ふだけの仕送りを爲て貰つてる樣子である。
成程さう言へば何處か固拗のところもあるが、僕の思ふには最初は頑固で行つたのながら後には却つて孤獨のわび住ひが氣樂になつて來たのではあるまいか。
何でも無遠慮に話す老人が身の上の事は成る可く避けて言はないやうにして居た。
けれど遠まはしに聞き出した處によると、田之浦の者で倅夫婦は百姓をして可なりの生活をして居るが、其夫婦のしうちが氣に喰ぬと言つて十何年も前から一人で此處に住んで居るらしい、そして倅から食ふだけの仕送りを爲て貰つてる樣子である。
成程さう言へば何處か固拗のところもあるが、僕の思ふには最初は頑固で行つたのながら後には却つて孤獨のわび住ひが氣樂になつて來たのではあるまいか。