二人とも心地よさそうに体をくつろげて、あぐらをかいて、火鉢を中にして煙草を吹かしている、六番の客は袍巻の袖から白い腕を臂まで出して巻煙草の灰を落としては、喫っている。
二人の話しぶりはきわめて卒直であるものの今宵初めてこの宿舎で出合って、何かの口緒から、二口三口襖越しの話があって、あまりのさびしさに六番の客から押しかけて来て、名刺の交換が済むや、酒を命じ、談話に実が入って来るや、いつしか丁寧な言葉とぞんざいな言葉とを半混ぜに使うようになったものに違いない。
七番の客の名刺には大津弁二郎とある、別に何の肩書きもない。