僕は噴煙をながめたままで耳を傾けて、この声の近づくのを待つともなしに待っていた。
『人影が見えたと思うと「宮地ゃよいところじゃ阿蘇山ふもと」という俗謡を長く引いてちょうど僕らが立っている橋の少し手前まで流して来たその俗謡の意と悲壮な声とがどんなに僕の情を動かしたろう。
二十四、五かと思われる屈強な壮漢が手綱を牽いて僕らの方を見向きもしないで通ってゆくのを僕はじっとみつめていた。
僕は噴煙をながめたままで耳を傾けて、この声の近づくのを待つともなしに待っていた。
『人影が見えたと思うと「宮地ゃよいところじゃ阿蘇山ふもと」という俗謡を長く引いてちょうど僕らが立っている橋の少し手前まで流して来たその俗謡の意と悲壮な声とがどんなに僕の情を動かしたろう。
二十四、五かと思われる屈強な壮漢が手綱を牽いて僕らの方を見向きもしないで通ってゆくのを僕はじっとみつめていた。