国木田独歩 『忘れえぬ人々』 そこの店先に一人の琵琶僧が立っていた。 歳のころ四十を五ツ六ツも越えたらしく、幅の広い四角な顔の丈の低い肥えた漢子であった。 その顔の色、その目の光はちょうど悲しげな琵琶の音にふさわしく、あの咽ぶような糸の音につれて謡う声が沈んで濁って淀んでいた。 国木田独歩の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア