輪廓といひ、陰影と云ひ、運筆といひ、自分は確にこれまで自分の書いたものは勿論、志村が書いたものゝ中でこれに比ぶべき出來はないと自信して、これならば必ず志村に勝つ、いかに不公平な教員や生徒でも、今度こそ自分の實力に壓倒さるゝだらうと、大勝利を豫期して出品した。
出品の製作は皆な自宅で書くのだから、何人も誰が何を書くのか知らない、又互に祕密にして居た殊に志村と自分は互の畫題を最も祕密にして知らさないやうにして居た。
であるから自分は馬を書きながらも志村は何を書いて居るかといふ問を常に懷いて居たのである。