宅の物置に曾て自分が持あるいた畫板が有つたの見つけ、同時に志村のことを思ひだしたので、早速人に聞いて見ると、驚くまいことか、彼は十七の歳病死したとのことである。
自分は久しぶりで畫板と鉛筆を提げて家を出た。
故郷の風景は舊の通りである、然し自分は最早以前の少年ではない、自分はたゞ幾歳かの年を増したばかりでなく、幸か不幸か、人生の問題になやまされ、生死の問題に深入りし、等しく自然に對しても以前の心には全く趣を變へて居たのである。
宅の物置に曾て自分が持あるいた畫板が有つたの見つけ、同時に志村のことを思ひだしたので、早速人に聞いて見ると、驚くまいことか、彼は十七の歳病死したとのことである。
自分は久しぶりで畫板と鉛筆を提げて家を出た。
故郷の風景は舊の通りである、然し自分は最早以前の少年ではない、自分はたゞ幾歳かの年を増したばかりでなく、幸か不幸か、人生の問題になやまされ、生死の問題に深入りし、等しく自然に對しても以前の心には全く趣を變へて居たのである。