佳い心持になって、自分は暫時くじっとしていたが、突然、そうだ自分もチョークで画いて見よう、そうだという一念に打たれたので、そのまま飛び起き急いで宅に帰えり、父の許を得て、直ぐチョークを買い整え画板を提げ直ぐまた外に飛び出した。
この時まで自分はチョークを持ったことがない。
どういう風に書くものやら全然不案内であったがチョークで書いた画を見たことは度々あり、ただこれまで自分で書かないのは到底まだ自分どもの力に及ばぬものとあきらめていたからなので、志村があの位い書けるなら自分も幾干か出来るだろうと思ったのである。