兼ねて此部屋には戸棚というものが無いからお秀は其衣類を柳行李二個に納めて室の片隅に置ていたのが今は一個も見えない、そして身には浴衣の洗曝を着たままで、別に着更えもない様な様である。
六畳の座敷の一畳は階子段に取られて居るから実は五畳敷の一室に、戸棚がない位だから、床もなければ小さな棚一つもない。
天井は低く畳は黒く、窓は西に一間の中窓がある計り東のは真実の呼吸ぬかしという丈けで、室のうち何処となく陰鬱で不潔で、とても人の住むべき処でない。
兼ねて此部屋には戸棚というものが無いからお秀は其衣類を柳行李二個に納めて室の片隅に置ていたのが今は一個も見えない、そして身には浴衣の洗曝を着たままで、別に着更えもない様な様である。
六畳の座敷の一畳は階子段に取られて居るから実は五畳敷の一室に、戸棚がない位だから、床もなければ小さな棚一つもない。
天井は低く畳は黒く、窓は西に一間の中窓がある計り東のは真実の呼吸ぬかしという丈けで、室のうち何処となく陰鬱で不潔で、とても人の住むべき処でない。