秋は小春のころ、石井という老人が日比谷公園のベンチに腰をおろして休んでいる。
老人とは言うものの、やっと六十歳で足腰も達者、至って壮健のほうである。
日はやや西に傾いて赤とんぼの羽がきらきらと光り、風なきに風あるがごとくふわふわと飛んでいる、老人は目をしばたたいてそれをながめている、見るともなしに見ている。
秋は小春のころ、石井という老人が日比谷公園のベンチに腰をおろして休んでいる。
老人とは言うものの、やっと六十歳で足腰も達者、至って壮健のほうである。
日はやや西に傾いて赤とんぼの羽がきらきらと光り、風なきに風あるがごとくふわふわと飛んでいる、老人は目をしばたたいてそれをながめている、見るともなしに見ている。