「わしのはこうじゃ」と語り出そうとする時、蚊遣火が消えて、暗きに潜めるがつと出でて頸筋にあたりをちくと刺す。
「灰が湿っているのか知らん」と女が蚊遣筒を引き寄せて蓋をとると、赤い絹糸で括りつけた蚊遣灰が燻りながらふらふらと揺れる。
東隣で琴と尺八を合せる音が紫陽花の茂みを洩れて手にとるように聞え出す。
「わしのはこうじゃ」と語り出そうとする時、蚊遣火が消えて、暗きに潜めるがつと出でて頸筋にあたりをちくと刺す。
「灰が湿っているのか知らん」と女が蚊遣筒を引き寄せて蓋をとると、赤い絹糸で括りつけた蚊遣灰が燻りながらふらふらと揺れる。
東隣で琴と尺八を合せる音が紫陽花の茂みを洩れて手にとるように聞え出す。