名を百合と呼び、大入島の生まれなり。
人の噂をなかば偽りとみるも、この事のみは信なりと源叔父がある夜酒に呑まれて語りしを聞けば、彼の年二十八九のころ、春の夜更けて妙見の燈も消えし時、ほとほとと戸たたく者あり。
源起きいで誰れぞと問うに、島まで渡したまえというは女の声なり。
名を百合と呼び、大入島の生まれなり。
人の噂をなかば偽りとみるも、この事のみは信なりと源叔父がある夜酒に呑まれて語りしを聞けば、彼の年二十八九のころ、春の夜更けて妙見の燈も消えし時、ほとほとと戸たたく者あり。
源起きいで誰れぞと問うに、島まで渡したまえというは女の声なり。