夏目漱石 『一夜』 「灰が湿っているのか知らん」と女が蚊遣筒を引き寄せて蓋をとると、赤い絹糸で括りつけた蚊遣灰が燻りながらふらふらと揺れる。 東隣で琴と尺八を合せる音が紫陽花の茂みを洩れて手にとるように聞え出す。 すかして見ると明け放ちたる座敷の灯さえちらちら見える。 夏目漱石の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア