戯れに棒振りあげて彼の頭上に翳せば、笑うごとき面持してゆるやかに歩みを運ぶ様は主人に叱られし犬の尾振りつつ逃ぐるに似て異なり、彼はけっして媚を人にささげず。
世の常の乞食見て憐れと思う心もて彼を憐れというは至らず。
浮世の波に漂うて溺るる人を憐れとみる眼には彼を見出さんこと難かるべし、彼は波の底を這うものなれば。
戯れに棒振りあげて彼の頭上に翳せば、笑うごとき面持してゆるやかに歩みを運ぶ様は主人に叱られし犬の尾振りつつ逃ぐるに似て異なり、彼はけっして媚を人にささげず。
世の常の乞食見て憐れと思う心もて彼を憐れというは至らず。
浮世の波に漂うて溺るる人を憐れとみる眼には彼を見出さんこと難かるべし、彼は波の底を這うものなれば。