西の山懐より真直に立ちのぼる煙の末の夕日に輝きて真青なるをみつめしようなり。
「紀州は親も兄弟も家もなき童なり、我は妻も子もなき翁なり。
我彼の父とならば、彼我の子となりなん、ともに幸いならずや」独語のようにいうを人々心のうちにて驚きぬ、この翁がかく滑らかに語りいでしを今まで聞きしことなければ。
西の山懐より真直に立ちのぼる煙の末の夕日に輝きて真青なるをみつめしようなり。
「紀州は親も兄弟も家もなき童なり、我は妻も子もなき翁なり。
我彼の父とならば、彼我の子となりなん、ともに幸いならずや」独語のようにいうを人々心のうちにて驚きぬ、この翁がかく滑らかに語りいでしを今まで聞きしことなければ。