否々彼も人の子なり、我子なり、吾に習いて巧みにうたい出る彼が声こそ聞かまほしけれ、少女一人乗せて月夜に舟こぐこともあらば彼も人の子なりその少女ふたたび見たき情起こさでやむべき、われにその情見ぬく眼ありかならずよそには見じ。
波止場に入りし時、翁は夢みるごときまなざしして問屋の燈火、影長く水にゆらぐを見たり。
舟繋ぎおわれば臥席巻きて腋に抱き櫓を肩にして岸に上りぬ。
否々彼も人の子なり、我子なり、吾に習いて巧みにうたい出る彼が声こそ聞かまほしけれ、少女一人乗せて月夜に舟こぐこともあらば彼も人の子なりその少女ふたたび見たき情起こさでやむべき、われにその情見ぬく眼ありかならずよそには見じ。
波止場に入りし時、翁は夢みるごときまなざしして問屋の燈火、影長く水にゆらぐを見たり。
舟繋ぎおわれば臥席巻きて腋に抱き櫓を肩にして岸に上りぬ。