目さめて枕辺を見しに紀州あらざりき。
紀州よ我子よと呼びつつ走りゆくほどに顔のなかばを朱に染めし女乞食いずこよりか現われて紀州は我子なりといいしが見るうちに年若き眼に変わりぬ。
ゆりならずや幸助をいかにせしぞ、わが眠りし間に幸助いずれにか逃げ亡せたり、来たれ来たれ来たれともに捜せよ、見よ幸助は芥溜のなかより大根の切片掘りだすぞと大声あげて泣けば、後ろより我子よというは母なり。
目さめて枕辺を見しに紀州あらざりき。
紀州よ我子よと呼びつつ走りゆくほどに顔のなかばを朱に染めし女乞食いずこよりか現われて紀州は我子なりといいしが見るうちに年若き眼に変わりぬ。
ゆりならずや幸助をいかにせしぞ、わが眠りし間に幸助いずれにか逃げ亡せたり、来たれ来たれ来たれともに捜せよ、見よ幸助は芥溜のなかより大根の切片掘りだすぞと大声あげて泣けば、後ろより我子よというは母なり。