翁は布団翻のけ、つと起ちあがりて、紀州よ我子よと呼びし時、目眩みてそのまま布団の上に倒れつ、千尋の底に落入りて波わが頭上に砕けしように覚えぬ。
その日源叔父は布団被りしまま起出でず、何も食わず、頭を布団の外にすらいださざりき。
朝より吹きそめし風しだいに荒らく磯打つ浪の音すごし。
翁は布団翻のけ、つと起ちあがりて、紀州よ我子よと呼びし時、目眩みてそのまま布団の上に倒れつ、千尋の底に落入りて波わが頭上に砕けしように覚えぬ。
その日源叔父は布団被りしまま起出でず、何も食わず、頭を布団の外にすらいださざりき。
朝より吹きそめし風しだいに荒らく磯打つ浪の音すごし。