僕は徳二郎の後について田甫に出で、稻の香高き畔路を走つて川の堤に出た。
堤は一段高く、此處に上れば廣々とした野面一面を見渡されるのである。
未だ宵ながら月は高く澄んで冴えた光を野にも山にも漲ぎらし、野末には靄かゝりて夢の如く、林は煙をこめて浮ぶが如く、背の低い川楊の葉末に置く露は珠のやうに輝いて居る。
僕は徳二郎の後について田甫に出で、稻の香高き畔路を走つて川の堤に出た。
堤は一段高く、此處に上れば廣々とした野面一面を見渡されるのである。
未だ宵ながら月は高く澄んで冴えた光を野にも山にも漲ぎらし、野末には靄かゝりて夢の如く、林は煙をこめて浮ぶが如く、背の低い川楊の葉末に置く露は珠のやうに輝いて居る。