帆前船の暗い影の下を潜り、徳二郎は舟を薄暗い石段の下に着けた。
「お上りなさい」と徳は僕を促した。
堤の下で「お乘なさい」と言つたぎり彼は舟中僕に一語を交へなかつたから、僕は何の爲めに徳二郎が此處に自分を伴ふたのか少しも解らない、然し言ふまゝに舟を出た。
帆前船の暗い影の下を潜り、徳二郎は舟を薄暗い石段の下に着けた。
「お上りなさい」と徳は僕を促した。
堤の下で「お乘なさい」と言つたぎり彼は舟中僕に一語を交へなかつたから、僕は何の爲めに徳二郎が此處に自分を伴ふたのか少しも解らない、然し言ふまゝに舟を出た。