四面玲瓏、峯秀で溪幽に、亦と類なき奇石であつたので、雲飛先生涙の出るほど嬉しがり、早速家に持ち歸つて、紫檀の臺を造え之を安置した。
靈なる哉この石、天の雨降んとするや、白雲油然として孔々より湧出で溪を越え峯を摩する其趣は、恰度窓に倚つて遙かに自然の大景を眺むると少も異らないのである。
權勢家某といふが居て此靈妙を傳へ聞き、一見を求に來た、雲飛は大得意でこれを座に通して石を見せると、某も大に感服して眺て居たが急に僕に命じて石を擔がせ、馬に策つて難有うとも何とも言はず去つてしまつた。
四面玲瓏、峯秀で溪幽に、亦と類なき奇石であつたので、雲飛先生涙の出るほど嬉しがり、早速家に持ち歸つて、紫檀の臺を造え之を安置した。
靈なる哉この石、天の雨降んとするや、白雲油然として孔々より湧出で溪を越え峯を摩する其趣は、恰度窓に倚つて遙かに自然の大景を眺むると少も異らないのである。
權勢家某といふが居て此靈妙を傳へ聞き、一見を求に來た、雲飛は大得意でこれを座に通して石を見せると、某も大に感服して眺て居たが急に僕に命じて石を擔がせ、馬に策つて難有うとも何とも言はず去つてしまつた。