かすかに覚えているところでは父は柔和い方で、荒々しく母や自分などを叱ったことはなかった。
母に叱られて柱に縛りつけられたのを父が解てくれたことを覚えている。
その時母が父にも怒を移して慳貪に口をきいたことをも思い出し、父のこと母のこと、それからそれへと思を聯ね、果は親子の愛、兄弟の愛、夫婦の愛などいうことにまで考え込んで、これまでに知らない深い人情の秘密に触れたような気にもなった。
かすかに覚えているところでは父は柔和い方で、荒々しく母や自分などを叱ったことはなかった。
母に叱られて柱に縛りつけられたのを父が解てくれたことを覚えている。
その時母が父にも怒を移して慳貪に口をきいたことをも思い出し、父のこと母のこと、それからそれへと思を聯ね、果は親子の愛、兄弟の愛、夫婦の愛などいうことにまで考え込んで、これまでに知らない深い人情の秘密に触れたような気にもなった。