猶お友の語るところに依れば、お露は美人ならねどもその眼に人を動かす力あふれ、小柄なれども強健なる体格を具え、島の若者多くは心ひそかにこれを得んものと互に争いいたるを、一度大河に少女の心移や、皆大河のためにこれを祝して敢て嫉もの無かりしという。
お露は児のために生き、児は島人の何人にも抱かれ、大河はその望むところを達して島の奥、森蔭暗き墓場に眠るを得たり。
記者思うに不幸なる大河の日記に依りて大河の総を知ること能わず、何となれば日記は則ち大河自身が書き、しかしてその日記には彼が馬島に於ける生活を多く誌さざればなり。