斯る時、人は往々無念無想の裡に入るものである。
利害の念もなければ越方行末の想もなく、恩愛の情もなく憎悪の悩もなく、失望もなく希望もなく、たゞ空然として眼を開き耳を開いて居る。
旅をして身心共に疲れ果てゝ猶ほ其身は車上に揺られ、縁もゆかりもない地方を行く時は往々にして此の如き心境に陥るものである。
斯る時、人は往々無念無想の裡に入るものである。
利害の念もなければ越方行末の想もなく、恩愛の情もなく憎悪の悩もなく、失望もなく希望もなく、たゞ空然として眼を開き耳を開いて居る。
旅をして身心共に疲れ果てゝ猶ほ其身は車上に揺られ、縁もゆかりもない地方を行く時は往々にして此の如き心境に陥るものである。