見れば山に沿ふて長屋建の一棟あり、これに対して又一棟あり。
絃歌は此長屋より起るのであつた。
一棟は幾戸かに分れ、戸々皆な障子をとざし、其障子には火影花かに映り、三絃の乱れて狂ふ調子放歌の激して叫ぶ声、笑ふ声は雑然として起つて居るのである、牛部屋に等しき此長屋は何ぞ知らん鉱夫どもが深山幽谷の一隅に求め得し歓楽境ならんとは。
見れば山に沿ふて長屋建の一棟あり、これに対して又一棟あり。
絃歌は此長屋より起るのであつた。
一棟は幾戸かに分れ、戸々皆な障子をとざし、其障子には火影花かに映り、三絃の乱れて狂ふ調子放歌の激して叫ぶ声、笑ふ声は雑然として起つて居るのである、牛部屋に等しき此長屋は何ぞ知らん鉱夫どもが深山幽谷の一隅に求め得し歓楽境ならんとは。