『そうね』とお絹もしいては勧めかね道々二人は肩をすり寄せ小声に節を合わして歌いながら帰りぬ。
若い者のにわかに消えてなくなる、このごろはその幾人というを知らず大概は軍夫と定まりおれば、吉次もその一人ぞと怪しむ者なく三角餅の茶店のうわさも七十五日経たぬ間に吉次の名さえ消えてなくなりぬ。
お絹お常のまめまめしき働きぶり、幸衛門の発句と塩、神主の忰が新聞の取り次ぎ、別に変わりなく夏過ぎ秋逝きて冬も来にけり。
『そうね』とお絹もしいては勧めかね道々二人は肩をすり寄せ小声に節を合わして歌いながら帰りぬ。
若い者のにわかに消えてなくなる、このごろはその幾人というを知らず大概は軍夫と定まりおれば、吉次もその一人ぞと怪しむ者なく三角餅の茶店のうわさも七十五日経たぬ間に吉次の名さえ消えてなくなりぬ。
お絹お常のまめまめしき働きぶり、幸衛門の発句と塩、神主の忰が新聞の取り次ぎ、別に変わりなく夏過ぎ秋逝きて冬も来にけり。