梅ちゃんは十歳の年から世話になったが、卒業しないで退校ても先生別に止めもしなかった、今は弟の時坊が尋常二年で、先生の厄介になっている、宅へ帰ると甘えてしかたがないが学校では畏れている。
先生の中二階からはその屋根が少しばかりしか見えないが音はよく聞こえる水車、そこに幸ちゃんという息子がある、これも先生の厄介になッた一人で、卒業してから先生の宅へ夜分外史を習いに来たが今はよして水車の方を働いている、もっとも水車といっても都の近在だけに山国の小さな小屋とは一つにならない。
月に十四、五両も上がる臼が幾個とかあって米を運ぶ車を曳く馬の六、七頭も飼ッてある。