この時自分の端なく想い出したのは佐伯にいる時分、元越山の絶頂から遠く天外を望んだ時の光景である。
山の上に山が重なり、秋の日の水のごとく澄んだ空気に映じて紫色に染まり、その天末に糸を引くがごとき連峰の夢よりも淡きを見て自分は一種の哀情を催し、これら相重なる山々の谷間に住む生民を懐わざるを得なかった。
自分は小山にこの際の自分の感情を語りながら行くと、一条の流れ、薄暗い林の奥から音もなく走り出でまた林の奥に没する畔に来た。
この時自分の端なく想い出したのは佐伯にいる時分、元越山の絶頂から遠く天外を望んだ時の光景である。
山の上に山が重なり、秋の日の水のごとく澄んだ空気に映じて紫色に染まり、その天末に糸を引くがごとき連峰の夢よりも淡きを見て自分は一種の哀情を催し、これら相重なる山々の谷間に住む生民を懐わざるを得なかった。
自分は小山にこの際の自分の感情を語りながら行くと、一条の流れ、薄暗い林の奥から音もなく走り出でまた林の奥に没する畔に来た。