騎兵ゆき過ぎんとして、後なる馬上の、年若き人、言葉に力を入れ『……に候間至急、「至急」という二字は必ず加えざるべからず』と言うや、前なる騎兵、『無論、無論……』と答えつ、青年の耳たてし時は二騎の姿すでに木立ちにかくれて笑う声のみ高く聞こえたり。
青年はさらに路をいそぎぬ。
――停車場の時計、六時を五分過ぎ、下りの汽車を待つ客七、八人、声立てて語るものなければ寂寥さはひとしおなり。
騎兵ゆき過ぎんとして、後なる馬上の、年若き人、言葉に力を入れ『……に候間至急、「至急」という二字は必ず加えざるべからず』と言うや、前なる騎兵、『無論、無論……』と答えつ、青年の耳たてし時は二騎の姿すでに木立ちにかくれて笑う声のみ高く聞こえたり。
青年はさらに路をいそぎぬ。
――停車場の時計、六時を五分過ぎ、下りの汽車を待つ客七、八人、声立てて語るものなければ寂寥さはひとしおなり。