第一あんな心持の優い人ったらめったに有りや仕ない。
彼家じゃ奥様も好い方だし御隠居様も小まめにちょこまかなさるが人柄は極く好い方だし、お清様は出戻りだけに何処か執拗れてるが、然し気質は優しい方だし」と思いつづけて来てハタとお徳の今日昼間の皮肉を回想して「水の世話にさえならなきゃ如彼奴に口なんか利かしや仕ないんだけど、房州の田舎者奴が、可愛がって頂だきゃ可い気になりゃアがってどうだろうあの図々しい案梅は」とお徳の先刻の言葉を思い出し、「大変な木戸でしょうだって、あれで難癖を附ける積りが合憎と旦那がお取上に相成らんから可い気味だ。
愚態ア見やアがれだ」と又つと気を変えて「だけど感心と言えば感心だよ。