これがお源には言うに言われない得意なので、お徳がこの風を見せた時、お清が磯に丁寧な言葉を使った時など嬉さが込上げて来るのであった。
それで結極のべつ貧乏の仕飽をして、働き盛りでありながら世帯らしい世帯も持たず、何時も物置か古倉の隅のような所ばかりに住んでいる、従ってお源も何時しか植木屋の女房連から解らん女だ、つまり馬鹿だとせられていたのだ。
磯吉の食事が済むとお源は笊を持て駈出して出たが、やがて量炭を買て来て、火を起しながら今日お徳と木戸のことで言いあったこと、旦那が木戸を見て言った言葉などをべらべら喋舌て聞かしたが、磯は「そうか」とも言わなかった。