自分は尺八のことにはまるで素人であるから、彼が吹くその曲の善し悪し、彼の技の巧拙はわからないけれども、心をこめて吹くその音色の脈々としてわれに迫る時、われ知らず凄動したのである。
泣かんか、泣くにはあまりに悲哀深し、吹く彼れはそもそもなんの感ずることなきか。
曲終れば、音を売るものの常として必ず笑み、必ず謙遜の言葉の二三を吐くなるに反して、彼は黙然として控え、今しもわが吹き終った音の虚空に消えゆく、消えゆきし、そのあとを逐うかと思わるるばかりであった。
自分は尺八のことにはまるで素人であるから、彼が吹くその曲の善し悪し、彼の技の巧拙はわからないけれども、心をこめて吹くその音色の脈々としてわれに迫る時、われ知らず凄動したのである。
泣かんか、泣くにはあまりに悲哀深し、吹く彼れはそもそもなんの感ずることなきか。
曲終れば、音を売るものの常として必ず笑み、必ず謙遜の言葉の二三を吐くなるに反して、彼は黙然として控え、今しもわが吹き終った音の虚空に消えゆく、消えゆきし、そのあとを逐うかと思わるるばかりであった。