「イヤ気楽でもあるまい、日に焼け雨に打たれ、住むところも定まらず国々を流れゆくなぞはあまり気楽でもなかろうじゃアないか。
けれどもいずれ何か理由のあることだろうと思う、身の上話を一ツ聞かしてもらいたいものだ」と思いきって正面から問いかけた。
人の不幸や、零落につけこんで、その秘密まで聞こうとするのは、決して心あるもののすることでないとは承知しながらも、彼に二度まで遇い、その遇うた場所と趣とが少からず自分を動かしたために、それらを顧慮することができなかったのである。
「イヤ気楽でもあるまい、日に焼け雨に打たれ、住むところも定まらず国々を流れゆくなぞはあまり気楽でもなかろうじゃアないか。
けれどもいずれ何か理由のあることだろうと思う、身の上話を一ツ聞かしてもらいたいものだ」と思いきって正面から問いかけた。
人の不幸や、零落につけこんで、その秘密まで聞こうとするのは、決して心あるもののすることでないとは承知しながらも、彼に二度まで遇い、その遇うた場所と趣とが少からず自分を動かしたために、それらを顧慮することができなかったのである。