家と屋敷ばかり広うても貧乏士族で実は喰うにも困る中を母が手内職で、子供心にはなんの苦労もなく日を送っていたのでございます。
母も心細いので山家の里に時々帰えるのが何よりの楽しみ、朝早く起きて、淋しい士族屋敷の杉垣ばかり並んだ中をとぼとぼと歩るきだす時の心持はなんとも言えませんでした。
山路三里は子供には少し難儀で初めのうちこそ母よりも先に勇ましく飛んだり跳ねたり、田溝の鮒に石を投げたりして参りますが峠にかかる半ほどでへこたれてしまいました。
家と屋敷ばかり広うても貧乏士族で実は喰うにも困る中を母が手内職で、子供心にはなんの苦労もなく日を送っていたのでございます。
母も心細いので山家の里に時々帰えるのが何よりの楽しみ、朝早く起きて、淋しい士族屋敷の杉垣ばかり並んだ中をとぼとぼと歩るきだす時の心持はなんとも言えませんでした。
山路三里は子供には少し難儀で初めのうちこそ母よりも先に勇ましく飛んだり跳ねたり、田溝の鮒に石を投げたりして参りますが峠にかかる半ほどでへこたれてしまいました。