そのうちに雷がすぐ頭の上で鳴りだして、それが山に響いて山が破裂するかと思うような凄い音がして来たので、二人は物をも言わず糸を巻いて、籠を提げるが早いかドンドン逃げだしました。
途中まで来ると下男が迎えに来るのに逢いましたが、家に帰ると叔母と母とに叱られて、籠を井戸ばたに投げ出したまま、衣服を着更えすぐ物置のような二階の一室に入り小さくなって、源平盛衰記の古本を出して画を見たものです。
けれども母と叔母はさしむかいでいても決して笑い転げるようなことはありません、二人とも言葉の少ない、物案じ顔の、色つやの悪い女でしたが、何か優しい低い声でひそひそ話し合っていました。