私の性質でありましょうか、私だけは若い者の中でも別段に凝り固まり、間がな隙がな、尺八を手にして、それを吹いてさえいれば欲も得もなく、朝早く日の昇らぬうちに裏の山に上がって、岩に腰をかけて暁の霧を浴びながら吹いていますと、私の尺八の音でもって朝霧が晴れ、私の転ばす音につれて日がだんだん昇るようにまで思ったこともあったのでございます。
それですから自然と若い者の中でも私が一番巧いということになり、老先生までがほんとに稽古すれば日本一の名人になるなどとそそのかしたものです。
そのうち十九になりました。