そのころ私は女難の戒めをまるで忘れたのではありませんが、何を申すにも山里のことですから、若い者が二三人集まればすぐ娘の評判でございます。
小学校の同僚もなんぞと言えばどこの娘は別嬪だとか、あの娘にはもう色があるとか、そんな噂をするのは平気で、全くそれが一ツの楽しみなのですから、私もいつかその風に染みまして村の娘にからかって見たい気も時々起したのでございます。
さすが母の戒めがありますから、うかとは手も出しませんでしたが、決して心からその実、女を恐れていたのではなく、もしよい機会があったらきっと色の一ツぐらいできるはずになっていたのでございます。