叔母に言うことができないとすれば、お幸と二人で土地を逃げる他に仕方がないと一度は逃亡の仕度をして武の家に出かけましたが、それもイザとなって踏み出すことができませんでした。
と申すのは、『これが女難だな』という恐ろしい考えが、次第次第にたかまってきて、今までお幸のもとに通ったことを思うと『しまった』という念が湧き上るのでございます。
それですからもし、お幸を連れて逃げでもすれば、行く先どんな苦労をするかも知れず、それこそ女難のどん底に落ちてしまうと、一念こうなりましてはかけおちもできなくなったのでございます。