『サア聞いてくれ、私はもうどうしても勘弁がならんのだ』と、それから巻舌で長々と述べ立てましたところを聞きますと、つまりこうなんです、藤吉がその日仲間の者四五人と一しょにある所で一杯やりますと、仲間の一人がなんかのはずみから藤吉と口論を初めました。
互いに悪口雑言をし合っていますうちに、相手の男が、親方のお古を頂戴してありがたがっているような意久地なしは黙って引っ込めと怒鳴ったものとみえます。
それが藤吉にグッと癪に触りましたというものは、これまでに朋輩からお俊は親方が手をつけて持て余したのを藤吉に押しつけたのだというあてこすりを二三度聞かされましたそうで、それを藤吉が人知れず苦にしていた矢先、またもやこういうて罵しられたものですから言うに言われぬ不平が一度に破裂したのでございます、よけいなお世話だ、親方のお古ならどうした、手前はお古を貰うこともできまいと、我鳴りつけたものとみえます。