「蟻も葛餅にさえなれば、こんなに狼狽えんでも済む事を」と丸い男は椀をうつ事をやめて、いつの間にやら葉巻を鷹揚にふかしている。
五月雨に四尺伸びたる女竹の、手水鉢の上に蔽い重なりて、余れる一二本は高く軒に逼れば、風誘うたびに戸袋をすって椽の上にもはらはらと所択ばず緑りを滴らす。
「あすこに画がある」と葉巻の煙をぷっとそなたへ吹きやる。
「蟻も葛餅にさえなれば、こんなに狼狽えんでも済む事を」と丸い男は椀をうつ事をやめて、いつの間にやら葉巻を鷹揚にふかしている。
五月雨に四尺伸びたる女竹の、手水鉢の上に蔽い重なりて、余れる一二本は高く軒に逼れば、風誘うたびに戸袋をすって椽の上にもはらはらと所択ばず緑りを滴らす。
「あすこに画がある」と葉巻の煙をぷっとそなたへ吹きやる。