私は泣くこともわめくこともできません、これは皆な罰だと思いますと、母のやつれた姿や、孕んだまま置き去りにして来たお幸の姿などが眼の前に現われるのでございます。
役所は免められ、眼はとうとう片方が見えなくなり片方は少し見えても物の役には立たず、そのうち少しの貯蓄はなくなってしまいました。
それから今の姿におちぶれたのでございますが、今ではこれを悲しいとも思いません、ただ自分で吹く尺八の音につれて恋いしい母のことを思い出しますと、いっそ死んでしまったらと思うこともございますが死ぬることもできないのでございます」