光治は心のうちで懐かしい少年だと思いながら、静かに少年の背後に立って、少年の描いている絵に目を落としますと、それは前方の木立を写生しているのでありましたが、びっくりするほど、いきいきと描けていて、その木の色といい、土の色といい、空の感じといい、それはいまにも動きそうに描けていたのでありました。
少年は熱心に美しい絵の具箱の中に収めてあるいろいろの絵の具を一つ一つ使い分けて草を描いたり、また鳥などを描いたり、花などを描いたりしていました。
光治は自分の吹く笛の音につれて、小鳥がいっしょになってさえずるのを自慢にしていました。