元来内気なこの娘は、人々がまわりにたくさん集まって、みんなが目を自分の上に向けていると思うと恥ずかしくて、しぜん唄の声も滅入るように低くはなりましたけれど、そのとき、弟の吹く笛の音に耳を傾けると、もう、自分は、広い、広い、花の咲き乱れた野原の中で、独り自由に駆けているような心地がして、大胆に、身をこちょうのように軽く跳ね上げて、おもしろく踊っているのでした。
ある夏の日のことでありました。
その日も太陽は、早くから上がって、みつばちは花を探ねて歩き、広場のかなたにそびえる木立は、しょんぼりと静かに、ちょうど脊の高い人が立っているように、うるんだ空の下に浮き上がって見えました。