漸く床の上に起き直つて、小机を蒲團の傍まで引張つて來て胃の膨滿を抑へながら、原稿紙に向かつた時は、もう世の中が秋の色を帶びてゐた。
時機を失して著者に對しては甚だ濟まないと思つたが、書かないよりは増しだらうと己惚れて所感を記す事にした。
「額の男」の著者が普通の小説家を以て任ずる人でない事は云ふまでもない。
漸く床の上に起き直つて、小机を蒲團の傍まで引張つて來て胃の膨滿を抑へながら、原稿紙に向かつた時は、もう世の中が秋の色を帶びてゐた。
時機を失して著者に對しては甚だ濟まないと思つたが、書かないよりは増しだらうと己惚れて所感を記す事にした。
「額の男」の著者が普通の小説家を以て任ずる人でない事は云ふまでもない。