京都では袖のある夜着はつくらぬものゝ由を主人から承つて、京都はよく/\人を寒がらせる所だと思ふ。
眞夜中頃に、枕頭の違棚に据ゑてある、四角の紫檀製の枠に嵌め込まれた十八世紀の置時計が、チーンと銀椀を象牙の箸で打つ樣な音を立てゝ鳴つた。
夢のうちに此の響を聞いて、はつと眼を醒ましたら、時計はとくに鳴り已んだが、頭のなかはまだ鳴つてゐる。
京都では袖のある夜着はつくらぬものゝ由を主人から承つて、京都はよく/\人を寒がらせる所だと思ふ。
眞夜中頃に、枕頭の違棚に据ゑてある、四角の紫檀製の枠に嵌め込まれた十八世紀の置時計が、チーンと銀椀を象牙の箸で打つ樣な音を立てゝ鳴つた。
夢のうちに此の響を聞いて、はつと眼を醒ましたら、時計はとくに鳴り已んだが、頭のなかはまだ鳴つてゐる。