への字烏、くの字烏である。
加茂の明神がかく鳴かしめて、うき我れをいとゞ寒がらしめ玉ふの神意かも知れぬ。
かくして太織の蒲團を離れたる余は、顫へつゝ窓を開けば、依稀たる細雨は、濃かに糺の森を罩めて、糺の森はわが家を遶りて、わが家の寂然たる十二疊は、われを封じて、余は幾重ともなく寒いものに取り圍まれてゐた。
への字烏、くの字烏である。
加茂の明神がかく鳴かしめて、うき我れをいとゞ寒がらしめ玉ふの神意かも知れぬ。
かくして太織の蒲團を離れたる余は、顫へつゝ窓を開けば、依稀たる細雨は、濃かに糺の森を罩めて、糺の森はわが家を遶りて、わが家の寂然たる十二疊は、われを封じて、余は幾重ともなく寒いものに取り圍まれてゐた。