代助はそれから夜の二時頃広い御成街道を通って、深夜の鉄軌が、暗い中を真直に渡っている上を、たった一人上野の森まで来て、そうして電燈に照らされた花の中に這入った。
「人気のない夜桜は好いもんだよ」と云った。
平岡は黙って盃を干したが、一寸気の毒そうに口元を動かして、
代助はそれから夜の二時頃広い御成街道を通って、深夜の鉄軌が、暗い中を真直に渡っている上を、たった一人上野の森まで来て、そうして電燈に照らされた花の中に這入った。
「人気のない夜桜は好いもんだよ」と云った。
平岡は黙って盃を干したが、一寸気の毒そうに口元を動かして、